日本人の食生活において、魚は切っても切れない存在であり、何らかの形で食べることが多いものです。朝食のおかずは納豆と卵とのりと焼き魚と・・・という人も多いのではないでしょうか。夕食のおかずとしても普通に魚は出てきますね。そんな魚ですが、魚料理と聞くと何の魚を思い浮かべるでしょうか。さんま、いわし、あじ・・・人によって違った魚が出てくるかと思います。その魚の中でも今回は日本人の間で広く親しまれている鮭について詳しく調べていきましょう。

鮭の学術的分類

鮭はサケ目サケ科サケ属に分類される魚の総称ですが、我々が一般的に鮭といって食しているのはシロザケと呼ばれるものです。日本はおろか世界中には様々な種類の鮭が存在しており、その食され方も国によって様々です。大体、日本で食されている鮭自体実に多くの料理法があるのですから、世界を見渡せばもっと多くの料理法があるのは容易に想像がつくというものです。また、呼び名には鮭は入っていませんが、鮭の仲間としてマスがあります。鮭とマスの区別は海に出るか出ないかの違いくらいしかないのですが、厳密な区別方法が明確ではないため、場所によっては鮭とマスを一緒くたにして扱っているところもあります。ここではマスは取り上げずに、鮭だけを取り上げていきます。

鮭の歴史

鮭は日本で非常に有名です。朝食のおかずの焼き魚と聞いて私が真っ先に思い浮かべるのが焼き鮭ですし、実際に朝食に鮭を食されている方も多いと思います。では、この鮭はいつ頃から食されるようになったのでしょうか。

大昔の鮭の位置づけ

日本各地の貝塚から鮭の骨が発見されていることから、鮭は大昔から日本で食されていたようです。また、平安時代には、儀式に使う献上品として鮭が使われていたという記録が残っています。このように、鮭はただ単なる食材としてだけではなく、様々な形で祭る対象になっていたようです。現在でも一部ではその名残があり、実際に鮭を祭る祭祀が行われています。今では一般に広く普及している鮭も、昔は希少価値の高い食物だったようですね。

貴重な食材から一般的な食材へ

鮭は卵を産むときに生まれた川に戻るということは今は皆さんが知っていることですが、この鮭の生態がわかったのは18世紀に入ってからです。鮭の生態がわかったことから、まずは鮭が卵を産める環境を整えようと川を整備することが行われました。そして、明治に入ってまもなくの1876年に、鮭の人工孵化が実験的に行われるようになりました。以後、様々な研究と改良が重ねられ、人工孵化に関する技術は相当なところまで進歩し、鮭を安定して供給できる土台が整いました。人工的な方法でありながらも鮭の絶対量が増えるようになったため、昔の貴重な魚だった鮭は次第に一般的な魚へと変貌を遂げることになりました。

鮭の不漁と「カムバック・サーモン」キャンペーン

鮭は生まれた川に戻って卵を産んでくれなければ、数がどんどん減少していきます。近年の日本の工業化に伴って、環境汚染問題が深刻になり、その波は河川汚染という形でも現れました。これにより鮭の漁獲量が年々減るという状態になってしまいます。そこで、「もう一度鮭が戻ってこられる川にしよう」という「カムバック・サーモン」キャンペーンというのが1970年代頃から行われるようになりました。この運動が実を結び、各河川に鮭が徐々に戻ってくるようになりました。今では人工孵化の技術向上や稚魚放流の過剰化、河川の浄化などの理由によって逆に鮭は過剰供給気味になっており、特にここ数年は鮭の豊漁が続いているためわざと漁獲量を減らすということも行われています。

食用としての鮭

鮭はその種類によって若干違いはありますが、ある一定まで成長すると海に出て、3年から5年もの間をそこで過ごした後、再び生まれた川に戻ってきて繁殖行為を行い、そこで絶命します。では、我々が食する鮭はどこで水揚げされているのでしょうか。実際の鮭の水揚げ方法は定置網というのを使って行っていますが、これは川の河口付近に設置するようです。つまり、我々が食する鮭は、産卵を控えた鮭が川に戻ろうとする直前を捕らえたものになります。成熟し、十分に身がなったところで捕獲する、これにより身たっぷりでおいしい鮭がいただけるようになっているのです。残念ながら、川をさかのぼった鮭は体の栄養分を使い切ってしまい、体も傷だらけになってしまうため、食用としては利用できません。しかしながら、上流までのぼって繁殖を終えた鮭がそこで絶命しても、山奥に住む熊や狐などの食用になりますし、よしんば川に還ったとしてもそこの水の栄養分として吸収されますから、全くの無駄になるということはありません。

鮭の旬

鮭に限らず、魚はその種類によって旬というものがあります。鮭の旬は基本的に秋から冬にかけてです。これは秋になると鮭が一斉に川を上っていこうとするからです。保存技術が進歩している現在では、夏場であっても鮭をおいしくいただくことはできますし、そのためのレシピも豊富にありますが、やはり一番おいしくいただけるのは獲れた直後でしょう。特に、筋子やいくら・白子といった内臓系は新鮮なものが一番いいに決まっています。いくら丼などを食するのであれば、夏場は避けて冬場に食するのがいいですね。

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